ペット不可物件で入居者がペット飼育していたら契約解除できるか(建物明渡請求)

賃貸借契約において「物件内でのペット飼育を一律に禁止する」という特約を設けることは、一般的に有効であると考えられています

この特約が締結された場合、賃借人はこれを遵守する義務を負い、違反して無断でペットを飼育することは債務不履行(契約違反)となります。

ペット禁止条項の有効性について

ペット禁止条項は、借主に不利な特約を無効とする「借地借家法第30条」や、公序良俗に反する「民法第90条」には違反しないと考えられます。

共同住宅においてペットを自由に飼育させると、鳴き声、排泄物、臭い、抜け毛などによって建物に損害を与えるおそれがあるほか、他の居住者に迷惑や損害を及ぼす可能性があるため、特約を設けることには合理性があると判断されています。

特約違反と契約解除の関係

ペット禁止の特約自体は有効ですが、「特約違反=即座に契約解除が可能」というわけではありません。

建物賃貸借契約の解除が認められるためには、その違反行為が賃貸人と賃借人との間の「信頼関係を破壊するに足りる程度」のものであることが必要です。

解除が認められやすいケース

信頼関係が破壊されたとみなされたと考えられるケースでは賃貸借契約の解除が認められやすいです。

例えば
・貸主による度重なる注意や飼育中止の申し入れを無視して飼育を継続している場合
・近隣住民から苦情が出ている場合
・室内の汚損や悪臭が著しい場合
・多頭飼育で「おびただしい数」のペットを飼育している場合

などです。

このようなケースでは、解除が認められる確率は高くなるでしょう。

解除が困難なケース1(建物や他の居住者にほとんど影響を与えない)

ペットの飼育が建物の維持管理や他の居住者の生活にほとんど影響を与えない程度であれば、単に飼育しているという事実だけでは解除が認められない場合もあります。

・カゴの中で飼育している
・騒音や臭いがない等

たとえば、小学生のお子さんがてんとう虫をカゴで飼育している程度では、解除は認められないかもしれません。

解除が困難なケース2(貸主側の対応が不十分)

貸主側の対応が不十分なケースでは、解除が認められない場合もあります。

貸主が飼育の事実を知りながら長期間放置していたり、適切な是正勧告(注意や中止の申し入れ)を一度も行わずにいきなり解除を申し立てたりした場合は、信頼関係の破壊が認められにくくなる可能性があります。

ペット禁止特約がない場合の取扱いについて

ペット禁止特約がなければ絶対に賃貸借契約を解除することができないのかといえば、必ずしもそうではありません。

例えば、通常許容される範囲を明らかに逸脱するような数のペットを飼育していて、賃貸借契約当事者間の信頼関係を破壊すると判断されれば「用法違反」として契約解除が認められる可能性があります。

契約解除の判断基準(信頼関係破壊理論)について

賃貸借契約においてペット飼育禁止特約に違反した場合、それが直ちに契約解除につながるわけではありません。

賃貸借契約の解除には単なる形式的な契約違反(債務不履行)だけでは足りず、賃貸人と賃借人の間の「信頼関係を破壊するに足りる程度」の違反が必要です。

信頼関係破壊を判断するために、以下のような証拠が必要となります。

・貸主の警告に対する対応
・建物への実害(汚損・損傷)
・他の居住者への迷惑(騒音・苦情)
・飼育の規模と態様(飼育しているペットの種類や数、飼育方法)

実際に明渡しが認められるか否かは具体的な事情によります。
賃貸借契約を解除し、物件の明け渡しを請求できるかどうかは、専門職への相談をお勧めします。

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