レアケースですが、被相続人に借金があった場合などは相続放棄をお勧めすることもあります。
後から借金の督促が来た場合にも、原則として「相続放棄をした」ことを主張できます。
不動産や銀行口座の手続きを進めるには相続人全員の協力が必要です。
被相続人(亡くなった方)に子どもがいなくて、相続人が兄弟姉妹になるケースや、兄弟姉妹も亡くなっているケースでは疎遠な親族が共同相続人になることがあります。
連絡をくれた人が、自分とは話したことも会ったこともない。親戚ではあるらしいが、どういう関係なのかすぐには分からない。こんなケースの相談をいただくことがあります。
相続手続きをするためには相続人全員の同意が必要
遺言がない場合、遺産分割協議で相続手続きをするためには、相続人全員の同意が必要です。
この「相続人全員」とは、疎遠だったり、面識がない相続人がいる場合も同様です。疎遠な関係の相続人にも遺産分割協議への協力をしてもらう必要があります。
遺産分割協議書や相続分譲渡証書などに実印を押して印鑑証明書を付けることになります。
疎遠な関係、面識のない相続人とは?
疎遠な関係、面識のない相続人は、次のようなケースがあります。
・被相続人の兄弟姉妹
兄弟姉妹が死亡している場合は、そのおい、めい(代襲相続人)
数次相続の場合は、さらに甥姪の相続人
・被相続人の前配偶者の子
・被相続人が認知していた子
相続登記の義務化が開始されたことも理由の一つです
令和6年4月1日より相続登記の義務化が開始されました。原則として相続が発生してから3年以内に相続登記をしない場合は、過料に処せられる可能性があります。
このような相続登記義務化を背景に相続登記の協力を要請するケースが増えています。
相続時に印鑑証明を悪用されるリスク
印鑑証明は重要な本人確認書類です。
実印が押された書類に印鑑証明書が添付されている場合、たとえそれが不本意な状況で押されたものであっても、公的には「書類の内容に同意していた」「本人の真正な意思に基づいて作成された」と推定されます。
「実印が押してあるけど同意していない」と主張する場合は、どのような状況で押印されたものかなどを裁判で争っていくことになりますが、覆すのは困難です。
「印鑑証明書を送りたくない」場合はどうすればよいか?
いくつか選択肢があります。
・身元を調べて怪しくなければ遺産分割協議に協力する
・相続放棄の申し立てをする
・とりあえず返事をしない
1つめは身元を確認したうえで遺産分割協議に協力することです。
「印鑑証明書を送りたくない」という理由が詐欺でないか疑っているのであれば、身元を調べて怪しくない場合は遺産分割協議に協力してあげるのもよいでしょう。
2つめは、相続放棄の申し立てをすることです。
被相続人が全く知らない人だったとしても、相続放棄は可能です。
3つめは「とりあえず返事をしないで放置する」です。
このケースでは、三カ月の熟慮期間が経過して相続放棄できなくなりリスクがあります。被相続人に借金があった場合などは注意するべきです。
もしずっと返事をしなければ、場合によっては遺産分割の調停の申立てがされるかもしれません。
遺産分割調停は、裁判所のなかで話し合いましょうという仕組みなので、申立てられたからといって焦る必要はありません。
