相続放棄の手続きは家庭裁判所で行います。
相続放棄の手続きは、主に以下のような流れで進めます。
- 被相続人の財産調査(相続開始〜申述前)
- 法定相続人を確定させる
- 家庭裁判所への相続放棄の申し立て
- 裁判所から届いた照会書に回答して返送する
- 相続放棄申述受理書が届く
相続放棄の手続きの流れ
被相続人の財産調査(相続開始〜申述前)
相続放棄の手続きを開始する前に、まずは「放棄すべきかどうか」を判断するために調査します。
最低限、以下のものは全て調査します。
・不動産
・有価証券
・借金や未払金などの負債
・「法定単純承認」のリスクがあります
放棄を検討している間、安易に遺品を整理したり、被相続人の預金を解約・使用したりすると、相続を承諾した(単純承認)とみなされ、放棄が認められなくなるリスクがあります。
・3か月以内の熟慮期間に注意します
原則として、自分が相続人であることを知った日から3か月以内(熟慮期間)に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。調査に時間がかかる場合は、裁判所に期間の延長を申し立てることも可能です。
法定相続人を確定させる
民法では、相続人になれる人の範囲と順位の定めがあります。(第887条〜890条)
民法の定めに従って「相続する権利がある人」が法定相続人となります。
相続人の範囲と優先順位のルール
配偶者: 常に相続人です。
第1順位(子・孫): 子が優先されます。子供が先に亡くなっている場合は孫が相続します。(代襲相続)
第2順位(親・祖父母): 第1順位が誰もいない場合、両親が相続します。両親がいない場合は祖父母です。
第3順位(兄弟姉妹・甥姪): 第1・第2順位が誰もいない場合、兄弟姉妹が相続します。兄弟姉妹がいない場合は甥・姪です。
亡くなった方の戸籍謄本を集めて法定相続人を確定します。
家庭裁判所への相続放棄の申し立て
・必要書類の収集
相続放棄申述書のほか、被相続人の住民票除票、申述人(自分)の戸籍謄本などが必要です。
必要な戸籍の量などにより、収集に必要な日数が変わってきます。申述人が被相続人の兄弟姉妹や甥姪の場合は、収集すべき戸籍が多くなります。
・相続の放棄の申述書(成人)(家庭裁判所)
・提出先
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。持参のほか、郵送での提出も可能です。
・申立書提出先一覧(家庭裁判所)
・費用
申述人1人につき800円の収入印紙と、連絡用の郵便切手代がかかります。
裁判所から届いた照会書に回答して返送する
書類提出後は裁判所による審査が行われます。提出から一定期間後、裁判所から「照会書(質問状)」が届きます。
これには「放棄は自分の意思か」「被相続人の死亡をいつ知ったか」「遺産を処分していないか」といった質問が記載されており、回答して返送します。
相続放棄申述受理通知書が送付される
審査に問題がなければ、裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届きます。これが届けば、法的に相続放棄が完了したことになります。
受理後の対応と注意点
手続きが終わっても、いくつか留意すべき点があります。
・債権者への対応
借金の督促が続く場合、この受理通知書(または別途発行される受理証明書)を提示することで、支払いを拒否できます。
・管理義務の継続: 放棄によって「最初から相続人ではなかった」ことになりますが、その財産を「現に占有している」場合は、次の相続人や相続財産清算人に引き渡すまで、自分の財産と同じように管理を続ける義務が残ります。
・次順位の親族への影響: 自分が相続放棄すると、相続する権利が次の順位(子→親→兄弟姉妹)のかたに移ります。
トラブルを避けるため、次順位の親族のかたにはあらかじめ放棄することを伝えておくのがよいでしょう。
相続放棄の申し立てに必要な書類
・相続放棄申述書
家庭裁判所に備え付けられています。
裁判所のホームページからダウンロードすることも可能です。
・被相続人の住民票除票、または戸籍附票
被相続人の最後の住所地を確認し、管轄の家庭裁判所を特定するために必要です。
・申述人(放棄する本人)の戸籍謄本
申述人が実在し、相続権を持つ本人であることを証明します。
・被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本
被相続人が亡くなった事実を公的に証明するために必要です。「除籍謄本」や「改製原戸籍謄本」が含まれる場合が多いです。
